ツバキ科ツバキ属の植物の総称。狭義には、ヤブツバキをさします。
<ツバキとサザンカとの見分け方>
?ツバキは萼の部分から丸ごと落ちますが、サザンカは花びらが個々に散ります。?ツバキは雄しべの花糸が下半分くらいくっついていますが、サザンカは花糸がくっつきません。
?ツバキは、花は完全には平開しません(カップ状のことも多い)が、サザンカは、ほとんど完全に平開します。?サザンカは子房、果実、葉の付け根に毛がうっすらと生えますが、ツバキは生えません。(原種は見分けやすいですが、園芸品種は多様性に富むので見分けにくい場合があります。)
<ツバキ属の植物>
ヤブツバキ( C. Japonica):原種。分布は青森県以南。花期は冬から春にかけて。
サザンカ ( C. sasanqua): 四国、九州以南にみられ、開花時期によって、晩秋から初冬まで咲くサザンカと冬から早春に開花するカンツバキ(
C. sasanqua Thunb. ’Shishigashira’)と冬から春まで咲くハルサザンカに分けられます。
チャノキ ( C. sinensis) :ツバキやサザンカとの交雑種も見られます。
ナツツバキ( Stewartia pseudocamellia)はシャラノキともいい、ナツツバキ属で、種類が異なります。
<ツバキのいろいろ>
ユキツバキ(雪椿):学名Cmellia japonica var. decumbens
上記のヤブツバキの豪雪地帯適応型変種で、東北から北陸にかけて分布。枝がしなやかで、花弁が水平に開き、雄しべはウメの雄しべのように花中に広がる等の特徴があります。花の変異が多く八重咲きの品種改良に大きく貢献しました。ヤブツバキとの交雑系統を「ユキバタツバキ」と呼び、
オトメツバキがあります。
侘助(わびすけ):ツバキの品種の一つで、「太郎冠者(たろうかじゃ)」という品種から派生したもの。雄しべが退化した品種の総称で、一般のツバキに比べて花は小型で、開き切らずに筒状になるのが特徴。葯が変形していて、受粉し難い。茶席には欠かせません。
匂いツバキ:匂いがあまりないツバキ・サザンカの中で沖縄地方の山地林内に自生するヒメサザンカCamellialutchuensisは最も芳香が有りますが、小輪であるため、他の種類と交配して新品種作りが進められています。ツバキは赤が主体で、色が派手なので、鳥や虫を呼び寄せるために香りがある必要がないので、香りが無いのだという説があります。
金花茶:中国からベトナムにかけて分布する、黄花のツバキ。寒さに弱いので、冬期は室内の明るい窓辺に置き、夜間−5℃以下にしなければ越冬します。
西洋ツバキ:19 世紀に西洋に渡った日本のツバキが、西洋の美意識に基づいて品種改良されたもの。日本のツバキが「わび・さび」といった独自の感性の中で品種が生み出されたのに対して、優雅で華麗、豪華な花容のものが多いです。(タマ・ビューティー)
<ツバキの色・形のいろいろ>
花色:白斑;星斑(蜀紅)、雲状斑(岩根絞)、横杢斑(正義) 覆輪;白覆輪(隠れ磯)、紅覆輪(王冠)、底白
絞り;吹きかけ絞り(氷室雪月花)、小絞り(春の台)、縦絞り(葛城絞)
花形:一重咲き 猪口咲き (ワビスケ)、筒咲き(永楽)、抱え咲き(玉霞)、百合咲き、ラッパ咲き、桔梗咲き、椀咲き、平開咲き、
八重咲き、 唐子咲き 、八重咲き、千重咲き、蓮華咲き(羽衣)、列弁咲き、宝珠咲き(オトメツバキ)、牡丹咲き(雪牡丹)、獅子咲き
花の大きさ:極小輪(4cm 以下) 、小輪(4〜6cm)、中輪(7〜9cm) 、大輪(10〜12cm)極大輪(13cm
以上)
葉:葉も観賞の対象になります。江戸時代に、葉の突然変異を見つけ出し、選抜育成して、観賞しました。金魚葉
、 蘭鋳(らんちゅう)葉 、やすり葉 、柊葉 、斑入り など
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